レセプト代行の料金相場は、外来のレセプト点検だけなら1件120〜250円、月額固定であれば49,800円からです(2026年9月13日時点の各社公開料金[1][2][3])。幅が広く見えます。理由は単純です。何を代行するかが、会社ごとに違います。

同じ「レセプト代行」という言葉が、点検だけを指すこともあれば、算定から請求、返戻対応までを指すこともあります。

診療報酬請求の工程は、受付から入金確認まで7つに分かれます。患者の受付と資格確認、カルテへの記録、点数の算定、レセプトの作成、点検、審査支払機関への提出、返戻や査定への対応です。代行会社が引き受けるのは、このうち3番目から6番目のどこかです。 点数の算定から任せるのか、算定は院内で行って作成と点検だけを任せるのか、それとも提出と返戻対応まで含めて丸ごと任せるのかという範囲の差が、そのまま金額の差になって見積もりに現れます。金額を比べる前に、範囲を揃えてください。 そこが要です。揃えないまま並べると、安い見積もりが実は点検だけだった、という事態が起きます。

料金の決まり方は2通りです

公開されている料金ページを見ると、決まり方は2通りです。

1つは件数単価です。レセプト1件いくらで計算し、件数が増えれば比例して増えます。もう1つは月額固定です。一定の範囲内なら、件数が増えても金額は変わりません。繁忙期と閑散期の差が大きい医療機関ほど、この違いが年額に響きます。

表1 料金の決まり方と、公開されている水準(2026年9月13日時点)

決まり方

公開されている水準

出典

件数単価(外来・点検のみ)

1件120円〜、130円

[1][2]

件数単価(外来・算定業務まで)

1件240円〜

[1]

月額固定(点検のみ)

49,800円/月(最低契約3か月)

[3]

月額固定+従量

基本100,000円/月に50,000円分を含み、超過分は従量

[3]

下限もあります。件数単価には最低報酬が設定されていることがあります。ある会社は最低報酬を「1医療機関あたり60,000円(税別)」と明記しています[1]。月200件の診療所が単価130円で計算しても、請求額は26,000円にはなりません。 最低報酬に届くまでは固定費と同じ扱いになります。

件数が少ない診療所ほど、単価より最低報酬を先に見てください。

もう1つ、契約期間の下限がある会社もあります。月額固定の点検プランで最低契約期間が3か月、請求まで含むプランで12か月という設定です[3]。試しに1か月だけ、という頼み方はできません。代行に出すかどうかは、少なくとも3か月は続ける前提で判断してください。 途中で院内に戻すと、その間に止まっていた手順を思い出すところから始めることになり、担当者が入れ替わっていれば教え直す時間まで追加で発生します。

外来レセプトの単価は1件120〜250円です

単価を並べます。外来の点検だけを外に出す場合の水準です。

公開料金で確認できたのは、外来診療レセプトチェックが120円から[1]、レセプト点検が130円[2]です。歯科向けの会社では1枚160〜250円という帯が示されています[5]。範囲としては120〜250円に収まります。

注意点です。この3社は診療科も業務範囲も違います。 医科と歯科では点検の観点が変わり、点数表も別です。単価だけを横に並べて安い会社を選ぶと、自院の診療科に対応していないことがあります。

単価の表示にも幅があります。「120円〜」という書き方は下限であって[1]、診療科や難易度で上がる可能性を含んでいます。実物を見せてください。自院のレセプトを数十枚渡し、それを見たうえで金額を出してもらいます。

もう1つ、算定業務を含めるかどうかで単価は倍になります。外来診療算定業務は240円からで[1]、点検のみの120円ちょうど2倍です。算定業務とは、カルテの内容から点数を付けるところまでを指します。点検は、付いた点数の誤りを探す作業です。自院で算定までやっているなら点検のみ、算定から任せたいなら算定業務、と読み替えてください。

件数別に月額を試算する

単価だけでは足りません。件数を入れて計算します。

表2 外来レセプトの月額試算(単価120円・130円で計算。2026年9月13日時点の公開単価[1][2]による試算)

月間レセプト件数

単価120円

単価130円

最低報酬60,000円[1]を適用した場合

100件

12,000円

13,000円

60,000円

300件

36,000円

39,000円

60,000円

500件

60,000円

65,000円

65,000円

1,000件

120,000円

130,000円

130,000円

境目は月500件です。ここを覚えておいてください。ここより少ないと、単価計算より最低報酬のほうが高くなります。月額固定の49,800円[3]と比べても、300件以下なら固定型のほうが安く収まる計算です。

逆に1,000件を超えると、単価計算のほうが高くなります。件数が多い医療機関は、月額固定の上限を確認してください。固定型は「一定の範囲内」で固定なので、範囲を超えた分の扱いが契約書に書かれています。

訪問診療と訪問看護は単価が10倍になります

在宅系は別料金です。外来の感覚で見積もると合いません。

訪問診療レセプトチェックは1件1,200円から、訪問診療算定業務は2,400円からです[1]。別の会社も訪問診療の点検を1,200円、算定支援を2,400円としています[2]。外来の120円と比べると10倍です。

透析はもっと上です。透析診療レセプトチェックが2,400円から、算定業務が3,600円からという設定です[1]。

訪問看護ステーションは枚数帯で決まる方式が見られます。

表3 訪問看護の請求代行の料金例(2026年9月13日時点[4])

月間請求枚数

料金

25枚未満

基本料金50,000円(税別)のみ

25〜49枚

基本料金+30,000円

50〜74枚

基本料金+100,000円

75〜99枚

基本料金+150,000円

100枚以上

見積もり

この会社は対応する介護ソフトを限定しています[4]。自ステーションで使っているソフトが対象かどうかを、金額より先に確認してください。対象外なら、そこで候補から外れます。

在宅系の単価が高い理由は、訪問回数や居住場所の区分、同一建物かどうかといった条件が1件ごとに変わり、確認すべき項目が外来の何倍にもなるためです。訪問診療では訪問回数、居住場所の区分、同一建物かどうかで点数が変わります。訪問看護では特記事項の記載、公費との併用、医療保険と介護保険の切り分けが入ります。外来と同じ手間では終わりません。件数が少なくても金額が大きくなるのは、この確認項目の差です。

見積もりに入っていないことが多い業務

安い見積もりほど、含まれない業務の欄が長くなります。確認できた範囲を挙げます。

電子カルテ内の修正がオプション扱いで、介護保険・労災保険・自賠責保険が対象外という会社があります[1]。返戻・査定管理を別料金とし、月額58,000円からとしている会社もあります[2]。受付・会計・カルテ修正・オンライン請求はプランごとに可否が分かれる設計です[3]。

返戻対応が別料金という点は、見積もりを比べるときに最も金額が動く箇所です。 ここを見落とすと、契約後に追加見積もりが来ます。 返戻はレセプトが差し戻されて再請求が必要になる事象で、対応しないと入金がその月に立ちません。点検だけを外に出して返戻を院内で処理するなら、事務職員の仕事は減りません。

労災と自賠責を扱う医療機関も気をつけてください。対象外と明記している会社があります[1]。件数が少なくても、扱う制度が多い医療機関ほど範囲の確認が要ります。

見積もりを取るときは、次の5点を同じ紙に書いて各社に渡してください。①月間レセプト件数と診療科、②算定から任せるか点検だけか、③返戻対応を含めるか、④労災・自賠責・公費の扱い、⑤使用しているレセコンと電子カルテの名称。5点を揃えないと、見積もりは比較できません。 それだけです。 各社が想定した範囲がばらばらのまま、金額だけが並びます。

職員を1人雇う場合と比べる

外注か採用かで迷う場合は、比べる土台を揃えます。

給与だけではありません。社会保険の事業主負担が乗ります。健康保険は東京都で9.85%(令和8年3月分から)[6]、厚生年金は18.3%で固定です[7]。どちらも労使折半なので、事業主の負担は合計で約14.1%になります(2026年9月13日時点の料率からの試算)。

月給25万円なら、事業主負担は月約35,000円です(2026年9月13日時点の料率[6][7]による試算)。給与と合わせて月285,000円、年間では342万円になります。賞与や退職金は含めていません。採用にかかる求人広告費と、入職後の教育期間も別に見ておく必要があります。

表4 外注と採用の比較の土台(2026年9月13日時点の試算)

項目

代行(月500件・単価130円[2])

職員1人(月給25万円)

月額

65,000円

約285,000円

件数が増えたとき

単価×件数で増える

変わらない

休みや退職

契約で継続

引き継ぎが要る

件数だけなら代行が安く見えます。ただし職員は受付も会計も患者対応もします。レセプト業務だけを取り出して比べるなら代行、事務全体を任せるなら採用、という読み方をしてください。 経理業務での同じ考え方は経理BPOの相場にまとめています。

代行に出しても院内に残る仕事

全部は出せません。法令で医療機関の仕事と決まっているものがあります。

締切は翌月10日です。療養の給付等の費用の請求に関する命令が「各月分について翌月十日までに行わなければならない」と定めています[8]。この期限は代行に出しても変わりません。代行会社の作業日程が院内の締めに間に合うかを、契約前に確認してください。

窓口も違います。施設基準の届出は地方厚生局です[9]。加算を取るかどうかの判断と届出は院内に残ります。査定された点数への再審査の申し出も同じです。支払基金は「原則6か月以内に申出いただくよう依頼している」としています[10]。この6か月は法定の期限ではありません。 運用上の依頼であり、支払先ごとに扱いが変わります。国保連は都道府県ごとに運用が異なるため、自院が請求している先の案内を確認してください。

代行の範囲を決めるときは、この3つを院内に残る仕事として先に書き出してください。残る仕事が見えると、外に出す範囲が決まります。

順番が逆になりがちです。先に代行会社を探し、提案された範囲をそのまま受け入れる進め方です。この順番だと、院内に残る仕事の量が見えないまま契約することになり、事務職員の負担が思ったほど減りません。先に残る仕事を決め、その残りを外に出してください。 これだけです。

まとめ

先に書き出してください。自院の月間レセプト件数と、外に出したい工程の2つです。件数は最低報酬に届くかどうかの判断に使います。工程は見積もりの範囲を揃えるために使います。ここまで決めてから問い合わせると、返ってくる金額が比較できる形になります。

そのうえで、返戻対応が含まれるかを必ず質問してください。ここが含まれるかどうかで、事務職員の仕事量が変わります。点検だけを外に出した場合、月初の請求作業は軽くなりますが、月末に返ってくる返戻の処理は院内に残ります。

金額の比較は、年額に直すと判断しやすくなります。月65,000円なら年78万円です。職員1人の年342万円(2026年9月13日時点の試算)と並べると、差は年264万円になります。この差額で何ができるかを考えてから決めてください。受付や患者対応まで人手が要るなら、採用の判断になります。レセプト業務だけが重いなら、代行の判断になります。自院のどちらが重いかは、事務職員が1日のうち何分を受付と会計に使い、何分をレセプトの作成と点検に使っているかを1週間分だけ記録すれば、集計するまでもなく見えてきます。 特別な調査は要りません。レセプト業務の外注を検討している場合は、医療レセプト代行のページに当社の対応範囲と料金を出しています。判断に迷う点は無料相談でお聞きします。自院の事務がどこまで外に出せるかを整理したい場合は、1分でわかるAI活用度診断も使えます。

※料金は2026年9月13日時点で各社が公開している金額です。改定される場合があるため、契約前に各社の公式ページでご確認ください。

参考文献・出典

  1. 料金プラン — 株式会社メディカルタクト(参照 2026-09-13)
  2. レセプト代行 訪問診療・在宅医療にも対応 — 株式会社パドルシップ(参照 2026-09-13)
  3. リモート医事サービス iisy — 株式会社ソラスト(参照 2026-09-13)
  4. レセプト請求代行サービス レセケア — 株式会社訪看総合研究所(参照 2026-09-13)
  5. 料金プラン(歯科レセプト点検・請求代行) — 株式会社ReFree(参照 2026-09-13)
  6. 令和8年度の協会けんぽの保険料率 — 全国健康保険協会(参照 2026-09-13)
  7. 厚生年金保険の保険料 — 日本年金機構(参照 2026-09-13)
  8. 療養の給付及び公費負担医療に関する費用の請求に関する命令 — e-Gov法令検索(参照 2026-09-13)
  9. 施設基準の届出等 — 関東信越厚生局(参照 2026-09-13)
  10. 審査に関するQ&A — 社会保険診療報酬支払基金(参照 2026-09-13)