訪問看護指示書の期間とは、主治医が訪問看護指示書に書き込む有効期間のことで、医療保険では6か月が上限です[1]。訪問看護ステーションが医療保険で請求できるのは、この期間内に行った訪問だけです[2]。

期限が切れた翌日の訪問は、看護の内容が同じでも請求できません。事務が見落としやすいのは、指示書の末尾にある日付と上部の期間欄の違いです。特別訪問看護指示書の14日をどの日から数えるかも、通知によって書き方が違います。

有効期間は6か月まで。期間外の訪問は請求できません

医療保険の訪問看護療養費は、指示書の有効期間に入っている訪問だけが対象です。令和8年6月1日から適用されている訪問看護療養費の留意事項は、訪問看護基本療養費について次のように定めています[2]。

当該指示書に記載された有効期間内(6か月を限度とする。以下同じ。)に行った指定訪問看護について、利用者1人につき週3日を限度として算定する。

上限は6か月です。医療機関の側にも同じ上限があります。医科点数表の留意事項は、訪問看護指示料について、主治医が「訪問看護指示書に有効期間(6月以内に限る。)を記載して」交付した場合に算定するとしています[1]。

1か月だけの指示なら期間を書かなくてもよいとされ、同じ留意事項は「1か月の指示を行う場合には、訪問看護指示書に有効期間を記載することを要しない」としています[1]。請求の側では、訪問看護療養費の記載要領が「指示年月日の記載がない場合は、指示書の有効期間を交付後1か月とみなすこと」と定めています[4]。この一文は明細書の「指示期間」欄の項目にあり、医科の留意事項と合わせて読むと「指示年月日」は指示書の期間欄を指します。

期間の欄が空いている指示書は、1か月で切れます。 6か月の指示のつもりで受け取っていても、2か月目の訪問は期間外になります。受け取った日に期間の欄を見て、空欄なら発行した医療機関に確認してください。

有効期間を条件にしている項目は、基本療養費だけではありません。令和8年6月から適用の留意事項にある訪問看護遠隔診療補助料も、「主治医から交付を受けた訪問看護指示書の有効期間内にある者のみが算定できる」とされています[2]。

期間は途中で変わることもあります。主治医は、指示書を交付したあとでも患者の病状等に応じて期間を変更できるとされているため[1]、変更の連絡を受けたら管理表の終了日もその日のうちに書き換えます。

表1 指示書の種類ごとの期間と回数の上限(2026年9月時点の厚生労働省の通知[1][2][3])

書類

様式

期間の上限

回数の上限

訪問看護指示書

別紙様式16

6か月以内。記載がなければ交付後1か月

指示料の算定は月1回まで(医療機関側)

特別訪問看護指示書

別紙様式18

14日

月1回。気管カニューレ・真皮を越える褥瘡の人は月2回

精神科特別訪問看護指示書

別紙様式17の2

14日

月1回

期間の誤りは返戻につながります。千葉県国保連の手引は、明細書の「指示期間」欄について「訪問日は指示期間内であるか」を確認するよう求めています[7]。オンライン請求で指示期間の記載が誤っている場合は、国保連の側では直せないため返戻になるとも書いています[7]。

指示日と指示期間は、指示書の別の欄です

指示書には、日付を書く欄が上部と末尾にあります。厚生労働省が示す訪問看護指示書の様式(別紙様式16)では、上部に「訪問看護指示期間(年月日~年月日)」の欄があります[5]。末尾には「上記のとおり、指示いたします。」の一文と年月日、医療機関名、医師の署名が並びます[5]。

末尾の年月日は、医師が指示書を作成して指示した日です。請求の根拠は上部の指示期間です。末尾の日付が請求に関わるのは、期間の欄が空欄で交付後1か月とみなされるときです[4]。

更新のときに、この違いが請求に表れます。次の場面を想定してみます。

  • 前の指示書の指示期間は、2026年4月1日〜9月30日
  • 新しい指示書は9月25日付で届き、指示期間は10月1日〜2027年3月31日

では、9月26日から30日の訪問はどちらの指示書で請求するのか。前の指示書です。新しい指示書の日付が9月でも、その指示期間は10月1日からだからです。明細書の「指示期間」欄について、記載要領は「当該請求月にかからない指示期間は記載しないこと」としています[4]。9月分の明細書に書くのは4月1日〜9月30日の期間です。

逆の順番も起こります。新しい指示書の指示期間が前の期間の翌日から始まっていないと、その間の訪問を請求できる指示書がなくなります。空白の期間です。更新の依頼は、終了日の1か月前を目安に出します。

特別訪問看護指示書の様式(別紙様式18)にも同じ構造があります。上部に「特別看護指示期間」の欄、末尾に指示した年月日です[5]。明細書では「特別指示期間」欄に特別指示の有効期間を書きます[4]。

月をまたぐ特別指示について、記載要領は、請求する月の前月に特別訪問看護指示書の交付を受け、当月も続けて訪問した場合は「特別指示があった前月の年月日についても」記載するよう求めています[4]。9月25日に交付され、期間が9月25日〜10月8日なら、10月分の明細書にも9月25日からの期間を書くことになります。

特別訪問看護指示書は14日が限度で、月1回までです

特別訪問看護指示書は、急性増悪などで一時的に頻回の訪問が要るときに主治医が出す指示書です。訪問看護療養費の算定方法を定める告示は、次のように書いています[3]。

1月に1回(別に厚生労働大臣が定める者については、月2回)に限り、当該指示があった日から起算して14日を限度として算定する。

交付の条件は医科点数表の留意事項にあり、急性増悪、終末期、退院直後等の事由で、週4回以上の頻回の訪問看護を一時的に行う必要を主治医が認めた場合とされています[1]。恒常的に頻回の訪問が要る状態は対象外で、頻回の訪問が要る理由は特別訪問看護指示書に書きます[1]。

例外は2つだけです。月2回まで認められる「別に厚生労働大臣が定める者」は、次の人です[1]。

  • 気管カニューレを使用している状態にある者
  • 真皮を越える褥瘡の状態にある者(NPUAP分類のⅢ度またはⅣ度、DESIGN-R2020分類のD3・D4・D5)

この2つに当たらない利用者は月1回までです。精神科特別訪問看護指示書は、この例外がなく月1回に限られます[1][2]。月に3回目の特別指示書を受け取っても、告示が認める回数は最大で2回です。

では、月2回の例外は、実際にはどの利用者の請求で出てくるのか。主に要介護の利用者です。留意事項は、特別訪問看護指示書による算定の対象から「基準告示第2の1に規定する疾病等の利用者」を除いています[2]。医療保険の利用者のうち別表第7・第8に当たる人は、特別指示がなくても週4日以上算定できるため、14日の扱いは使いません[2]。一方、介護保険の利用者は別表第8に当たっても介護保険のままで、特別指示が出た期間だけ医療保険に移ります[7][9]。そのため月2回が請求に表れるのは、気管カニューレを使っているか真皮を越える褥瘡がある要介護の利用者が中心です。

要介護の利用者が医療保険と介護保険のどちらになるかの順番は、訪問看護レセプトの特記事項と別表7・8で確認できます。

週は日曜から始まります。算定回数が週単位のものは、日曜日から土曜日までを1週間とします[2]。特別訪問看護指示書の交付日を含む週と、14日目を含む週は、期間中に算定した日を除いて週3日が限度です[2]。

14日をどの日から数えるかは、資料によって書き方が違います。

表2 特別訪問看護指示書の14日を数える起点の書き方(2026年9月時点の3つの資料[1][2][3])

資料

書き方

訪問看護療養費の算定方法(告示第74号による改正後)

当該指示があった日から起算して14日を限度

訪問看護療養費の留意事項(保発0305第19号)

特別訪問看護指示書の交付の日から起算して14日以内

医科点数表の留意事項(保医発0305第6号)

当該特別の指示に係る診療の日から14日以内

起点は3通りです。診療した日、指示書を交付した日、特別看護指示期間の開始日が同じ日なら、どの書き方でも14日の範囲は同じです。3つの日付がずれている指示書を受け取ったら、発行した医療機関に日付の意図を確かめます。請求で数える起点は交付日です。ステーションの請求は訪問看護療養費の留意事項に従うため、訪問は交付日から14日以内に収まるように組んでください[2]。

記録も求められています。特別訪問看護指示書が出たら、頻回の訪問が必要な理由を主治医と相談し、その結果を記録書に書きます[2][6]。

かかっている医療機関が2つあるときは、主傷病の主治医の指示書で請求します

運営基準の通知は、主治医を利用申込者が選んだ保険医療機関の保険医としたうえで、主治医以外の複数の医師から指示書の交付は受けられないとしています[6]。

複数の医療機関にかかる利用者もいます。訪問看護療養費の留意事項は、原則として訪問看護が必要となる主傷病の診療を担う主治医の指示書に基づく訪問について訪問看護療養費を算定できるとしています[2]。同じ医療機関の同じ診療科で複数の医師が共同で診ている場合は、そのうち誰が出した指示書でもよいとされています[2]。

使う指示書は1枚に絞ります。たとえば、皮膚科と内科の両方から指示書が届いた場面です。主傷病がどちらかを確かめてください。 もう1枚は、発行元と相談して扱いを決めます。

2か所のステーションが同じ利用者に入るときは、指示書の様式の「他の訪問看護ステーションへの指示」欄に相手のステーション名を書きます[5]。この欄が「無」のまま2か所目が入っていたら、発行元に記載の確認を頼みます。

期限切れは、月初の管理表で防ぎます

利用者ごとの指示期間を1枚の表にして月初に確認すれば、期限切れの訪問に請求の前に気づけます。

表3 訪問看護指示書の管理表に置く列(AX総合研究所の作成例)

列

書く内容

見る場面

利用者・保険の区分

氏名と、医療保険か介護保険か

請求先の確認

主治医

医療機関名と医師名。主傷病

指示書が2枚届いたとき

指示日

指示書の末尾の年月日

受け取った指示書の特定

指示期間

開始日と終了日。空欄なら交付後1か月で入力

毎月の請求前

更新依頼日

終了日の1か月前

月初の依頼漏れの確認

特別指示

交付日・特別看護指示期間・当月の回数

14日の範囲と回数の上限

月2回の該当

気管カニューレか、真皮を越える褥瘡か

2回目の特別指示が届いたとき

明細書への転記

請求月にかかる指示期間を写したか

請求確定の前

作業は3段階です。まず、終了日が今月と来月に来る利用者を抜き出し、主治医へ更新を依頼します。次に、先月の訪問日がすべて指示期間に入っているかを確かめます。特別指示が出た利用者は、当月の回数が上限を超えていないかも見ます。

指示書そのものの保管期間も決まっています。医療保険の運営基準の通知は、訪問看護指示書を含む記録を、その完結の日から2年間備えておくよう定めています[6]。介護保険の指定も受けている場合は、指定を出した自治体の条例で定める保存年限も確認してください。

訪問看護レセプト代行では、指示書と特別指示書の指示期間を一覧にして毎月更新し、期限が近いものを前月のうちにお知らせします。主治医への更新の依頼は、ステーションから出していただきます。今の管理表で漏れがないかを確かめたい場合は、無料相談をご利用ください。

※内容は2026年9月26日時点で厚生労働省が令和8年度診療報酬改定のページ[8]に掲載している通知と、千葉県国民健康保険団体連合会の手引(令和8年4月版)に基づきます。指示書の扱いで判断に迷う場合は、発行元の医療機関と請求先の審査支払機関に確認してください。

参考文献・出典

  1. 診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について(令和8年3月5日 保医発0305第6号)医科点数表 — 厚生労働省保険局医療課(参照 2026-09-26)
  2. 訪問看護療養費に係る指定訪問看護の費用の額の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について(令和8年3月5日 保発0305第19号) — 厚生労働省保険局(参照 2026-09-26)
  3. 訪問看護療養費に係る指定訪問看護の費用の額の算定方法の一部を改正する件(令和8年厚生労働省告示第74号) — 厚生労働省(参照 2026-09-26)
  4. 訪問看護療養費請求書等の記載要領(「診療報酬請求書等の記載要領等について」等の一部改正について 令和8年3月27日 保医発0327第2号 別添3) — 厚生労働省保険局医療課(参照 2026-09-26)
  5. 診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について 様式(医科)別紙様式16・17の2・18 — 厚生労働省保険局医療課(参照 2026-09-26)
  6. 指定訪問看護の事業の人員及び運営に関する基準について(令和8年3月5日 保発0305第20号) — 厚生労働省保険局(参照 2026-09-26)
  7. 訪問看護療養費請求事務の手引 令和8年4月版(p.15・22) — 千葉県国民健康保険団体連合会(参照 2026-09-26)
  8. 令和8年度診療報酬改定について — 厚生労働省保険局(参照 2026-09-26)
  9. 「医療保険と介護保険の給付調整に関する留意事項及び医療保険と介護保険の相互に関連する事項等について」の一部改正について(令和8年3月27日 保医発0327第4号・老老発0327第2号) — 厚生労働省老健局老人保健課・保険局医療課(参照 2026-09-26)