居宅介護支援の請求業務は、ケアプランを作って終わりではありません。給付管理票を国民健康保険団体連合会へ出して初めて、居宅介護支援費が算定できます。担当件数によって単価が下がる逓減制もあり、件数の数え方を誤ると請求金額がずれます。ここでは根拠となる省令と通知の原文を並べて、間違えやすい数字を分けて示します。
給付管理票の提出が算定の条件です
まず、給付管理票の法令上の位置づけを確認します。
指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第38号)第14条第1項は、次のように定めています[1]。
指定居宅介護支援事業者は、毎月、市町村(…審査及び支払に関する事務を国民健康保険団体連合会に委託している場合にあっては、当該国民健康保険団体連合会)に対し、居宅サービス計画において位置付けられている指定居宅サービス等のうち法定代理受領サービスとして位置付けたものに関する情報を記載した文書を提出しなければならない。
この「文書」が給付管理票です。毎月の提出義務です。
そして、老企第36号は月途中の取り扱いについてこう書いています[2]。
死亡、入所等の時点で居宅介護支援を行っており、かつ、当該月分の…第14条第1項に規定する文書(給付管理票)を市町村(審査支払を国保連合会に委託している場合は、国保連合会)に届け出ている事業者について、居宅介護支援費を算定する。
「かつ」が重要です。 支援を行っていただけでは算定できません。給付管理票を出していることが条件に入っています。利用者が月の途中で亡くなったり施設に入所したりしたときに、給付管理票の提出を止めてしまう事業所があります。その月の居宅介護支援費は算定できなくなります。
逓減制は45件目から
居宅介護支援費は、担当件数が増えると単価が下がります。逓減制と呼ばれる仕組みです。
老企第36号の第三 7⑷は、件数の数え方を具体的に書いています[2]。
利用者の契約日が古いものから順に、1件目から44件目(常勤換算方法で1を超える数の介護支援専門員がいる場合にあっては、45にその数を乗じた数から1を減じた件数(小数点以下の端数が生じる場合にあっては、その端数を切り捨てた件数)まで)については居宅介護支援費(ⅰ)を算定し、45件目(…45にその数を乗じた件数)以降については、取扱件数に応じ、それぞれ居宅介護支援費(ⅱ)又は(ⅲ)を算定すること。ただし、居宅介護支援費(Ⅱ)を算定する場合は、「44件目」を「49件目」と、「45」を「50」と読み替える。
並べ替えの基準は契約日です。新しい利用者から順に単価が下がります。サービスの内容や要介護度は関係しません。
この並びは毎月変わります。古い利用者が契約を終了すれば、その分だけ後ろの利用者が前に繰り上がります。逆に新規契約が続けば、45件目の位置にいた利用者が46件目、47件目と下がっていきます。契約日順の一覧を毎月更新しておかないと、どの利用者がどの区分かを追えません。 介護保険請求のソフトに並べ替えの機能があるかどうかを、一度確認してみてください。
算定区分 | (ⅰ)が適用される件数 | (ⅱ)・(ⅲ)が適用される件数 |
|---|---|---|
居宅介護支援費(Ⅰ) | 1件目〜44件目 | 45件目以降 |
居宅介護支援費(Ⅱ) | 1件目〜49件目 | 50件目以降 |
常勤換算で介護支援専門員が複数いる場合は、45(または50)に人数を掛けます。常勤換算2.0人なら、45×2−1で89件目までが(ⅰ)です。端数は切り捨てます[2]。
取扱件数の分母と分子
(ⅱ)と(ⅲ)のどちらになるかは、取扱件数で決まります。この取扱件数の計算式も通知に書かれています[2]。
当該指定居宅介護支援事業所全体の利用者(月末に給付管理を行っている者をいう。)の総数に指定介護予防支援に係る利用者(…)の数に3分の1を乗じた数を加えた数を当該事業所の常勤換算方法により算定した介護支援専門員の員数で除して得た数とする。
この式には、実務で間違えやすい点が3つあります。
- 分子に入る利用者は「月末に給付管理を行っている者」です。契約しているだけの利用者は数えません
- 介護予防支援の利用者は3分の1を掛けます。令和6年度改定より前は2分の1でした。古い解説と食い違うのはこのためです
- 分母は常勤換算の介護支援専門員の員数です。実人数ではありません
古い資料を根拠にしている事業所は、ここを確認してください。 2分の1のまま計算していると、取扱件数が実際より大きく出ます。結果として、本来は(ⅰ)で算定できる利用者を(ⅱ)で請求することになります。
月末時点で数えるという点も見落とされがちです。月の途中で契約を終了した利用者は、給付管理を行っていれば分子に入ります。契約はしているものの当月はサービス利用がなかった利用者は入りません。月末に給付管理票を作った人数を数えます。 この一文で覚えておくと迷いません。
人員基準の44人・49人は別の話
数字が近いため、混同が起こります。人員基準と報酬の逓減は、別の条文です。
省令第2条第2項は、介護支援専門員の員数について「利用者の数(…指定介護予防支援の利用者の数に三分の一を乗じた数を加えた数。次項において同じ。)が四十四又はその端数を増すごとに一とする」と定めています[3]。第3項は、国民健康保険中央会が運用・管理する情報処理システムを利用し、かつ事務職員を配置している場合について「利用者の数が四十九又はその端数を増すごとに一とする」としています[3]。
何の基準か | 数字 | 根拠 |
|---|---|---|
人員配置(何人のケアマネが必要か) | 44人ごとに1人/システム利用時は49人ごとに1人 | 省令第2条 |
報酬の逓減(何件目から単価が下がるか) | 45件目から/(Ⅱ)算定時は50件目から | 老企第36号 第三7 |
特定事業所加算の件数要件 | 事業所平均で1名当たり45名未満/(Ⅱ)算定時は50名未満 | 老企第36号 第三14 |
特定事業所加算の要件は「原則として事業所単位で平均して介護支援専門員1名当たり45名未満(居宅介護支援費(Ⅱ)を算定している場合は50名未満)であれば差し支えない」と書かれています[2]。事業所平均の話であり、個々の利用者の単価区分とは別の判定です。
居宅介護支援費(Ⅱ)を算定する2つの条件
逓減が45件目から50件目に緩むため、(Ⅱ)の算定は多くの事業所にとって検討する価値があります。条件は2つです。
1つ目は、ケアプランデータ連携システムの利用です。通知は「利用申請をし、クライアントソフトをインストールしている場合に当該要件を満たしていることとなり、当該システムによる他の居宅サービス事業者とのデータ連携の実績は問わない」としています[2]。実績は問われません。 申請とインストールが要件です。
2つ目は、事務職員の配置です。通知は次のように書いています[2]。
その勤務形態は常勤の者でなくても差し支えない。なお、当該事業所内の配置に限らず、同一法人内の配置でも認められる。勤務時間数については特段の定めを設けていない
常勤である必要はありません。同一法人内の配置でも認められます。勤務時間数の下限も定められていません。この2つを満たしているのに(Ⅰ)のまま請求している事業所は、要件を読み直す価値があります。 5件分の逓減が緩むと、年間の収入は小さくない差になります。
国民健康保険中央会のシステム以外にも道があります。厚生労働省は、同等の機能とセキュリティを持つと認めたシステムとして、富士通四国インフォテックの「ケアプランデータ連携サービス」とコンダクトの「でんでん虫データ連携サービス」の2件を公表しています[4]。
締切と入金の時期
請求の受付期間は国民健康保険団体連合会が案内しています。連合会ごとに言い回しが違うため、自事業所の請求先を確認してください。
大阪府国民健康保険団体連合会は、受付期間を「毎月1日~10日となります」とし、「10日が土曜日、日曜日及び祝日の場合は受付を行います」と案内しています[5]。郵送は10日必着、受付時間は午前9時から午後5時30分です[5]。伝送請求は24時間受付ですが、「午前3時から午前5時までは、設備点検保守のため受付不可」としています[5]。
宮城県国民健康保険団体連合会は、締切を「サービス提供月の翌月10日午後5時15分まで」とし、提出期限以降の到着・受付分は翌月扱いになると案内しています[6]。
入金は、大阪府国保連が「請求月の翌月末日までに介護給付費等の振込みを行」うとしています[5]。宮城県国保連は「サービス提供月から翌々月末日までに振込む」という書き方です[6]。指す時点は同じですが、表現が違います。
審査の中身も公表されています。大阪府国保連は上限審査について「明細書情報のサービス種類ごとの合計請求単位数(日数)が、給付管理票の計画単位数(日数)の支給限度基準内の請求であるかどうかの突合等」と説明しています[7]。給付管理票と請求明細書は突き合わされます。 ここがずれると、サービス事業所側の請求が返戻になります。返戻の理由については介護レセプトの返戻理由にまとめました。
2026年6月に処遇改善加算が入りました
もう1つ、比較的新しい変更があります。厚生労働省の令和8年度介護報酬改定のページに掲載されている居宅介護支援の留意事項通知では、第三 居宅介護支援費に関する事項に「21 介護職員等処遇改善加算について」が新設されました[8]。改正前は「(新設)」の表示です[8]。
通知本文は「介護職員等処遇改善加算の内容については、別途通知(「介護職員等処遇改善加算に関する基本的考え方並びに事務処理手順及び様式例の提示について」)を参照すること」としています[8]。算定要件そのものは別通知にあるため、取得を検討する場合はそちらの原文を確認してください。
「居宅介護支援は処遇改善加算の対象外」と書かれた解説は、この改定より前のものです。手元の資料の日付を見てください。
まとめ
居宅介護支援の請求業務で金額に直結するのは、給付管理票の提出と、逓減制の件数管理の2つです。給付管理票は算定の条件そのものです。逓減は契約日の古い順に適用されます。
44・45・49・50という数字が並びますが、意味はそれぞれ違います。人員配置、報酬の逓減、加算の要件。表2の3行を事務所に貼っておくだけでも、確認の手間が減ります。
事業所数は減り続けています。2024年10月1日現在で37,258事業所、前年から526事業所の減少です[9]。経営主体は営利法人が50.3%を占めます[9]。少ない人数で請求事務まで抱える事業所が増えている、という背景があります。
事務の外注を検討する場合は介護レセプト代行に対応範囲を、費用感はBPOの費用相場にまとめています。個別の相談は無料相談からどうぞ。
※内容は2026年9月14日時点で厚生労働省・e-Gov法令検索・各国民健康保険団体連合会が公開している資料に基づきます。受付日と支払日は連合会ごとに異なるため、自事業所の請求先が公表するカレンダーを確認してください。
参考文献・出典
- 指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準 第14条 — e-Gov法令検索(デジタル庁)(参照 2026-09-14)
- 指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準等の制定に伴う実施上の留意事項について(老企第36号)新旧対照表 別紙1 — 厚生労働省(令和6年3月15日改正)(参照 2026-09-14)
- 指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準 第2条 — e-Gov法令検索(デジタル庁)(参照 2026-09-14)
- 居宅介護支援費に係るシステムの公募について — 厚生労働省 老健局 認知症施策・地域介護推進課(参照 2026-09-14)
- 請求期間・方法等(介護保険事業所等の皆様) — 大阪府国民健康保険団体連合会(参照 2026-09-14)
- 介護給付費等請求 — 宮城県国民健康保険団体連合会(参照 2026-09-14)
- 審査・支払結果通知書等(介護保険事業所等の皆様) — 大阪府国民健康保険団体連合会(参照 2026-09-14)
- 指定居宅介護支援に要する費用の額の算定に関する基準 実施上の留意事項(令和8年度介護報酬改定について) — 厚生労働省(参照 2026-09-14)
- 令和6(2024)年 介護サービス施設・事業所調査の概況 — 厚生労働省 政策統括官付参事官付社会統計室(2025年12月19日公表)(参照 2026-09-14)


