国保連とは、市町村から委託を受けて介護給付費の審査と支払を行う国民健康保険団体連合会です。その審査で請求が通らなかったとき、原因を4文字で表したものが返戻のエラーコードです。「請求明細書・給付管理票返戻(保留)一覧表」が届くと、この見慣れないコードが並びます。ABB0、12P0、ADD1。国保連ごとに解説表は用意されていますが、そもそもどの欄を見ればよいかが分かりにくい書式です。コードの意味を1件ずつ調べる前に、構造を知っておくと探す時間が短くなります。 2026年9月14日時点で国民健康保険中央会が作成し、各国保連が掲載している手引きの記載から読み方を追います。
コードの一覧そのものは各連合会のサイトで配布されています。この記事では一覧を再掲せず、読み方の構造だけを扱います。
最初に見るのは備考欄です
一覧表には複数の欄がありますが、最初に見るのは右端の備考欄です。
手引きは備考欄についてこう説明しています[1]。
請求明細書等が返戻となった原因を4文字のコード(アルファベットと数字の組合せ)で表示します。4文字のコード又は「返戻」が表示されている場合は返戻です。
「保留」が表示されている場合は、原因と対応が別に案内されています[1]。
熊本県国保連は、同じ判別をより短く書いています。「『請求明細書・給付管理票返戻(保留)一覧表』の備考欄に"保留"と記載されているもの以外は全て返戻です」というものです[2]。京都府国保連も「右端の備考欄に『保留』とあれば保留のデータです」と案内しています[3]。
返戻と保留では、次にすることがまったく違います。 返戻は自事業所で直して再請求します。保留は自事業所の請求に誤りがなく、居宅介護支援事業所の給付管理票が届いていない状態です[1]。
兵庫県国保連は、備考欄に「返戻」またはエラーコードが記載されている場合について「エラー箇所を修正のうえ、再度請求してください」と案内しています[4]。
事由記号のAからEが示すもの
備考欄の隣に、アルファベット1文字の事由欄があります。手引きは「請求明細書等が返戻(または保留)となった事由をアルファベット1文字で表示します」としています[1]。
記号 | 内容 |
|---|---|
A | 請求明細書等の基本的な項目に対する入力(記入)誤り、入力(記入)漏れ等で、審査処理で一次チェックエラーとなったもの |
B | 受給者台帳や事業所台帳と請求明細書等を突合し、不一致としてエラーとなったもの。また、当月以前に請求又は登録のあった請求明細書や給付管理票に対して、再請求または登録しようとしてエラーとなったもの等、審査処理で資格チェックエラーとなったもの |
C | 請求明細書に対する給付管理票との突合不一致のもの |
D | サービス計画費に対する給付管理票が未提出のもの |
E | 介護給付費等審査委員会で返戻となったもの |
この1文字で、直す相手が決まります。 Aなら自事業所の入力です。Bなら台帳との食い違いなので、保険者か都道府県への確認が要ります。CとDは給付管理票の側なので、居宅介護支援事業所との連絡になります。
Bが出たときは、原因を2つに分けて考えてください。1つは自事業所の届出が台帳へ反映されていない場合、もう1つは利用者の資格情報が変わっている場合です。前者は加算の体制届を出した直後の月に起きやすく、後者は転居や保険者の変更があった月に出ます。どちらも国保連に電話しても直りません。 台帳を作っているのは保険者と都道府県です。
CとDでは一覧表の表示も違います。手引きは、Cについて「一覧表の備考欄は『保留』のものと『返戻』となるものがあります」、Dについて「一覧表の備考欄は『返戻』となります」としています[1]。
4文字コードの構造
事由記号で当たりを付けたら、4文字コードを読みます。手引きにはコード体系が示されています[1]。
前2文字がカテゴリ、後ろ2文字がカテゴリ内の詳細コードです[1]。カテゴリは大きく2系統あります。アルファベットで始まるものと、数字で始まるものです。
前2文字 | カテゴリ |
|---|---|
AA | 形式誤り |
AB | 項目属性誤り |
AC | 二重登録(一次) |
AD | 台帳突合誤り(一次) |
AE | サービス提供年月誤り |
AG | 緊急時情報関連 |
AH | 特定情報関連 |
AN | 二重登録(資格) |
AR | 償還系誤り |
AS | 計算誤り |
AT | 数値不正(一次) |
AU | 数値不正(資格) |
10 | 事業所基本台帳またはサービス台帳 |
12 | 受給者台帳 |
13 | 法別管理台帳/公費負担者台帳 |
14 | 介護給付費単位数表/サービスコード管理/給付単価表ほか |
15 | 種類別市町村固有台帳 |
16 | 市町村特別給付台帳/地域密着型サービスコード台帳 |
20 | 介護予防・日常生活支援総合事業サービスコード台帳 |
Y | 医療 |
ZZ | その他 |
数字で始まるコードは、どの台帳と突き合わせて食い違ったかを示しています。12で始まるコードが出たら、受給者台帳を疑ってください。
10で始まれば事業所基本台帳またはサービス台帳、13なら公費負担者番号の関係、14ならサービスコードや単位数表との照合です[1]。コードの前2文字を見るだけで、確認する書類が絞れます。 解説表を引くのはその後で構いません。
手引きには具体例もあります。要介護認定の申請中に請求すると12P0エラー(受給者台帳に該当する受給者情報が存在しません)、変更申請中なら12PAエラー(変更申請中の受給者です)になるとされています[1]。どちらも認定情報が台帳に登録される前に請求したことが原因です。
一覧表のどこを見るか
一覧表の各欄も、確認の順番を決めておくと迷いません。手引きが説明している主な欄は次のとおりです[1]。
- サービス提供年月: 返戻(または保留)となった請求明細書等のサービス提供年月
- サービス種類: サービス種類をコードで表示。空欄は給付管理票の「合計情報」
- サービス項目等: 明細情報のエラーにはサービス項目コード、特定診療費・特別療養費情報のエラーには識別番号
- 単位数: 返戻(または保留)となった単位数。特定入所者介護費等については費用額合計
- 事由: アルファベット1文字
- 内容: 返戻(または保留)となった原因の項目とコメント
- 備考: 4文字コードまたは「返戻」「保留」
「内容」の欄にコメントが出ています。 手引きも「この欄を参照して請求明細書等の修正等をして下さい」と書いています[1]。コードを調べる前に、この欄で見当がつく場合が少なくありません。
1件の請求に複数のサービスがある場合の表示にも決まりがあります。すべてのサービスに該当するエラーなら全サービスコード分の単位数が、一部のみがエラーなら該当分の単位数だけが表示されます[1]。
サービス種類の欄が空欄になっている行にも意味があります。手引きは「サービス種類欄が空欄は給付管理票の『合計情報』(サービス計画の合計)です」と説明しています[1]。請求明細書のエラーと給付管理票のエラーが同じ一覧表に並ぶため、この欄で見分けます。
自分の県の解説表にたどり着く
コードごとの詳しい解説は、手引きのエラーコード解説に載っています。ただし、入手先と版に注意が要ります。
手引きは国民健康保険中央会が作成し、各都道府県の国保連が自サイトに掲載する形です。掲載されている版は連合会によって違います。東京都国保連の案内ページは令和8年1月22日訂正と表示しており[5]、令和6年6月版を掲載している連合会もあります。
エラーコード一覧そのものにも「令和6年5月以降審査分」といった適用時期の表示があります。手元の解説表が何年何月以降の審査分に対応しているかを、必ず確認してください。 古い版で調べると、載っていないコードが出てきます。
鹿児島県国保連は、探し方をこう案内しています。「返戻(保留)一覧表の『備考欄』に記載されている『4桁のエラーコード』より、下記エラーコード解説表にて内容及び対処方法等をご確認ください」[6]。京都府国保連も「『エラーコード一覧』より返戻コードを検索し、対処方法をご確認ください」としています[3]。
北海道国保連は、返戻の多い事例を集めた対応マニュアルを公開しています[7]。兵庫県国保連も返戻等事例集として、主なエラーの原因と対応方法をまとめた資料を掲載しています[8]。まず自分の県の国保連サイトを見てください。 全国共通の解説表を探すより早く着きます。
社内で使うなら、コードの記録を残してください。いつ、どの利用者の、どのコードで返戻になったか。3か月も続ければ、自事業所で繰り返しているコードが見えてきます。同じコードが毎月出ているなら、原因は個別の入力ミスではありません。 手順かソフトの設定にずれがあります。
保留のときにやること
備考欄が「保留」なら、自事業所の請求は通っています。必要なのは居宅介護支援事業所への連絡です。
鹿児島県国保連は「『保留』の場合は、支援事業所に給付管理票の提出依頼が必要です」と明記しています[6]。沖縄県国保連は保留の原因として、居宅支援事業所が給付管理票を提出していない場合と、提出しているが返戻になっている場合の2つを挙げています[9]。
放置すると返戻に変わります。京都府国保連は「保留分は、該当の給付管理票の提出があれば審査対象になりますが、給付管理票の提出がなければ、3ヶ月目に返戻になります」と案内しています[3]。この期間は連合会ごとに違います。 自事業所の請求先の案内を確認してください。
連絡するときは、一覧表の該当行をそのまま伝えてください。サービス提供年月、利用者、単位数。この3つがあれば、居宅介護支援事業所の側でも給付管理票を特定できます。「保留が出ています」とだけ伝えると、先方で探す時間が発生します。
返戻の理由そのものについては介護レセプトの返戻理由に、月次の流れは介護報酬請求の流れにまとめています。
再請求の期限
直したら再請求します。期限は2段構えです。
1つ目は毎月の受付期間です。京都府国保連は「受付は毎月1日~10日です。伝送での受付は10日24:00まで可能です」と案内しています[3]。
請求期間中であれば差し替えられる場合もあります。兵庫県国保連は、インターネット請求について「差し替えは可能です。再送信に係る電話連絡も不要です」としています[4]。ただし請求期間外は「審査中のため、差し替えることはできません」とされ、返戻された場合は翌月以降の再請求になります[4]。沖縄県国保連も、受付期間中なら「事業所にて請求データの取下および再送信が可能です」と案内しています[9]。
2つ目は時効です。京都府国保連は、介護報酬の請求について介護保険法第200条第1項により2年、総合事業費は5年とし、いずれも起算日を「サービス提供をした日の属する月の翌々々月の1日」としています[10]。起算日はサービス提供月ではありません。
返戻を放置したまま2年が過ぎると、その分は請求できなくなります。届いた一覧表を未処理のまま積んでいる事業所は、古いものから確認してください。
まとめ
返戻の一覧表が届いたら、見る順番は3つです。備考欄で返戻か保留かを判別し、事由記号で止まった段階を知り、4文字コードで原因を特定します[1]。
事由記号がAなら自事業所の入力、Bなら台帳、CとDなら給付管理票です[1]。連絡する相手がここで決まります。
コードごとの解説は自分の県の国保連サイトにあります。版と「◯年◯月以降審査分」の表示を確認してから使ってください[5]。
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※内容は2026年9月14日に参照した国民健康保険中央会「介護給付費請求の手引き(審査支払結果帳票の解説)」令和7年12月版、および各国民健康保険団体連合会の案内に基づきます。掲載されている版と保留の運用は連合会ごとに異なります。
参考文献・出典
- 介護給付費請求の手引き(審査支払結果帳票の解説)令和7年12月 — 国民健康保険中央会(愛知県国民健康保険団体連合会が掲載)(参照 2026-09-14)
- 【介護】返戻等問合せ — 熊本県国民健康保険団体連合会(2025年7月8日更新)(参照 2026-09-14)
- 介護保険事業者の皆さまへ よくある質問 — 京都府国民健康保険団体連合会(参照 2026-09-14)
- よくあるお問い合わせ(介護事業所の皆様へ) — 兵庫県国民健康保険団体連合会(参照 2026-09-14)
- 介護給付費請求の手引き(審査支払結果帳票の解説) — 東京都国民健康保険団体連合会(令和8年1月22日訂正)(参照 2026-09-14)
- 返戻通知が届いたら — 鹿児島県国民健康保険団体連合会(参照 2026-09-14)
- 返戻対応マニュアル(介護請求) — 北海道国民健康保険団体連合会(2024年2月1日掲載)(参照 2026-09-14)
- 返戻等事例集 — 兵庫県国民健康保険団体連合会(参照 2026-09-14)
- 介護関係者のよくある質問 — 沖縄県国民健康保険団体連合会(参照 2026-09-14)
- 時効について — 京都府国民健康保険団体連合会(参照 2026-09-14)


