建設業のDX補助金とは、施工管理アプリなどのソフトに使うデジタル化・AI導入補助金(通常枠5万〜450万円・補助率2分の1以内)、ICT建機に使う中小企業省力化投資補助金(省力化投資補助金)、研修に使う人材開発支援助成金など、建設会社のデジタル化投資の費用を国や自治体が一部負担する制度の総称です(2026年10月時点)[2][7][13]。締切が近いのはデジタル化・AI導入補助金の6次で、2026年10月30日です[1]。

国の補助金は、業種を問わない制度が中心です。制度名から建設業向けを探しても見つかりません。先に買うものを決めます。そのうえで、その品目が対象に入る制度を探します。

建設業のDX投資にはどの補助金を使うか(品目別の早見表)

建設会社のDX投資は、ソフトならデジタル化・AI導入補助金、機械と一体の設備なら省力化投資補助金、人の育成なら人材開発支援助成金で、新しい事業を始めるときだけ新事業進出・ものづくり商業サービス補助金が候補に入ります。

表1 建設会社のDX投資と、対象になりうる制度(2026年10月時点の公式資料から当社作成[2][3][7][11][13])

買うもの

見る制度

注意点

施工管理アプリ・工程管理・原価管理(クラウド)

デジタル化・AI導入補助金 通常枠

事務局に登録されたITツールだけが対象

工事写真管理・電子小黒板アプリ

デジタル化・AI導入補助金 通常枠

国の直轄工事では改ざん検知機能が要件

タブレット・スマートフォン

デジタル化・AI導入補助金 インボイス枠(会計・受発注・決済のソフトと同時)

補助率2分の1以内・10万円まで

公共工事のASP(情報共有システム)

補助金より先に発注者の要領を確認

工事費の技術管理費に含める発注者がある

ICT建機・ドローン測量・GNSS測量機

省力化投資補助金 カタログ注文型

カタログに登録された製品だけ

点群測量の受託など新しい事業

新事業進出・ものづくり商業サービス補助金

設備を入れるだけの計画は対象外

生成AIやアプリの使い方の研修

人材開発支援助成金 事業展開等リスキリング支援コース

10時間以上・職務に直結する内容

特別教育・技能講習

人材開発支援助成金 建設労働者技能実習コース

建設事業主向けのコース

タブレットは施工管理アプリと同じ通常枠の申請には載せられず、通常枠の対象経費もソフトウェア・オプション・役務の3区分で、ハードウェアの区分がありません[2]。PCやタブレットはインボイス枠で補助されます。会計・受発注・決済のいずれかの機能を持つソフトと同時に申請する場合に限ります[3]。7次からは、インボイス枠にも1人当たり給与支給総額の向上に関する申請要件が加わります[18]。

施工管理アプリと書類の電子化は、デジタル化・AI導入補助金です

施工管理アプリや工事写真管理のクラウドは、デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)の通常枠で申請し、補助額は5万〜450万円、補助率は2分の1以内です(2026年10月時点)[2]。補助額の上限は導入する業務プロセスの数で決まります。

表2 デジタル化・AI導入補助金の補助額と補助率(2026年10月時点[2][3][19])

枠

補助額

補助率

通常枠(1プロセス以上)

5万円以上150万円未満

2分の1以内(最低賃金近傍の特例で3分の2以内)

通常枠(4プロセス以上)

150万円以上450万円以下

同上

インボイス枠(ソフトウェア・50万円以下の部分)

50万円以下

4分の3以内(小規模事業者は5分の4以内)

インボイス枠(ソフトウェア・50万円超の部分)

350万円以下

3分の2以内

インボイス枠(PC・タブレット等)

10万円以下

2分の1以内

最低賃金近傍の特例は、7次から判定期間が令和7年10月〜令和8年9月に変わります[19]。通常枠のソフトは業務プロセスを持つ必要があり、汎用プロセスだけのツールは申請できません[2]。対象経費には導入設定・マニュアル設定・導入研修などの役務も入ります。クラウド利用料は最大2年分までです[2]。

デジタル化・AI導入補助金で150万円以上を申請する場合は、6次までも賃上げ計画が要件です。内容は1人当たり給与支給総額の年平均3%以上と、事業場内最低賃金を地域別最低賃金+30円以上にすることで、未達なら補助金の返還を求められます[19][22]。7次の公募要領(2026年10月9日公表)では「1年後に3%以上」が加わりました。IT導入補助金2022〜2025で交付決定を受けた事業者は、申請額によらず1年後3.5%以上です[18][19]。

6次の締切は2026年10月30日(金)17時です。交付決定は12月10日の予定です[1]。7次の締切は2026年12月1日(火)17時で、交付決定は2027年1月19日の予定です(2026年10月24日時点)[1]。交付決定より前に発注・契約・支払いをした分は補助されません[16]。制度の全体像はデジタル化・AI導入補助金2026の要点にまとめています。

自治体の上乗せもあります。愛知県の建設業DX推進支援事業費補助金は、国の補助対象経費から国の補助額を引いた残りの2分の1を、50万円まで補助します[4]。国の通常枠の確定通知を申請年度に受けていること、県発注の一般土木工事の受注実績などが要件で、期限は2027年1月29日、予算の範囲内の受付順です[4]。6次でも交付決定は12月10日の予定で、これから申請する会社が期限までに確定通知を受けるのは、日程が厳しいと当社は考えます。

電子小黒板とASPは、補助金より先に発注者の要領を読む

国の直轄工事で使う電子小黒板は改ざん検知機能を持つ製品に限られ、導入費用は工事の技術管理費に含まれるため、補助金より先に発注者の要領を確認します[5]。要件は、国土交通省が令和5年3月15日に地方整備局などへ出した通知が定めています。機器・ソフトウェアは写真管理基準の撮影項目を電子的に記入でき、かつ信憑性確認(改ざん検知機能)を持つものとされています[5]。改ざん検知にはCRYPTREC暗号リストに載る技術を使います[5]。

公共工事のASP(情報共有システム)の登録料と使用料は、発注者によっては工事費に含まれます。秋田県のガイドラインは、工事では共通仮設費(技術管理費)の率計上分に含まれるとしています[6]。

当社は、補助金で手当てするのは自社で継続して使うシステムに絞り、発注者の積算に費用が入っている電子小黒板やASPは要領に従う形をおすすめします。

ICT建機と測量機器は、省力化投資補助金のカタログに載っています

ICT建機や測量機器は、中小企業省力化投資補助金のカタログ注文型で、登録された製品を補助率2分の1以下、従業員数に応じて上限500万〜1,000万円(賃上げ時750万〜1,500万円)で購入できます(2026年10月時点)[7][8]。

表3 省力化投資補助金のカタログに載る主な建設向け製品(2026年10月時点[7])

製品カテゴリ

カタログへの追加日

GNSS測量機(RTK)・地上型3Dレーザースキャナー

2024年12月12日

マシンコントロール・マシンガイダンス機能付ショベル

2024年12月19日

チルトローテータ付ショベル・鉄筋組立作業ロボット

2025年1月16日

映像解析AIによる交通誘導システム

2026年2月26日

写真測量用ドローン/LiDAR測量用ドローン

2026年7月2日

墨出しロボット

2026年9月3日

ICT機能付ブルドーザ

2026年9月10日

自動乾式コアドリル

2026年9月25日

表4 省力化投資補助金の補助上限(2026年10月時点[8][10])

従業員数

カタログ注文型(賃上げ時)

一般型(大幅賃上げ時)

5人以下

500万円(750万円)

750万円(1,000万円)

6〜20人

750万円(1,000万円)

1,500万円(2,000万円)

21〜50人

1,000万円(1,500万円)※

3,000万円(4,000万円)

51〜100人

1,000万円(1,500万円)※

5,000万円(6,500万円)

101人以上

1,000万円(1,500万円)※

8,000万円(1億円)

※カタログ注文型の区分は5人以下・6〜20人・21人以上の3つで、21人以上は同額です[8]。

カタログ注文型の金額は2026年3月19日の制度改定後の値で、補助率は2分の1以下です[8]。一般型の補助率は、中小企業が2分の1、小規模企業者は3分の2です[10]。一般型は機械装置・システム構築費が必須経費です。単価50万円(税抜)以上の設備投資を1つ以上含める必要があります[20]。専用ソフトウェア・情報システムの構築はこの経費に入りますが、クラウドの月額利用料だけでは条件を満たしません[20]。AIを使う設備がどこまで対象になるかは省力化投資補助金でAIは対象かで扱っています。

一般型の第8回は2026年10月16日17時で締め切られました。第9回は2026年11月上旬に公募開始、12月下旬に締切の予定です(2026年10月24日時点)[9]。

新しい事業を始めるなら、新事業進出・ものづくり商業サービス補助金です

新事業進出・ものづくり商業サービス補助金は、点群測量の受託のように新製品・新サービスや新市場に進出する計画が対象で、設備を入れるだけの社内効率化は対象外です[11]。第1回の締切は2026年10月30日(金)18時(厳守)です[21]。

表5 新事業進出・ものづくり商業サービス補助金の補助上限(第1回・2026年10月時点[11])

枠

補助上限(従業員数に応じる)

賃上げ特例時

革新的新製品・サービス枠

750万〜2,500万円

最大3,500万円

新事業進出枠・グローバル枠

2,500万〜7,000万円

最大9,000万円

革新的新製品・サービス枠は新製品・新サービスの開発を伴わない設備導入だけの事業を対象外としています[11]。建設会社が新事業進出・ものづくり商業サービス補助金を検討するなら、対象になりうるのはドローンと点群処理で測量を新しく請け負うような、新市場への進出の計画です。

新事業進出・ものづくり商業サービス補助金の共通の要件は3つで、未達のときは返還義務があります[11]。

  1. 付加価値額の年平均成長率4.0%以上[11]
  2. 1人当たり給与支給総額の年平均成長率3.5%以上[11]
  3. 事業場内最低賃金を地域別最低賃金+30円以上[11]

社内の効率化が目的なら、先にデジタル化・AI導入補助金か省力化投資補助金を見ます。

建設会社の研修に使える助成金は2コースです

建設会社の研修費は、特別教育・技能講習なら人材開発支援助成金の建設労働者技能実習コース、生成AIや施工管理アプリの研修なら事業展開等リスキリング支援コースで助成を受けられます(2026年10月時点)[12][13]。

建設労働者技能実習コースの対象は、労働安全衛生法の特別教育・技能講習、技能検定の事前講習、登録基幹技能者講習など、建設工事の作業に直接関連する実習です[12][23]。

表6 建設会社が使う人材開発支援助成金の2コース(中小企業の場合・2026年10月時点[12][13][14])

項目

建設労働者技能実習コース

事業展開等リスキリング支援コース

向いている研修

特別教育・技能講習・技能検定の事前講習

生成AI・施工管理アプリなどDX化の訓練

経費

一定割合(1人1実習10万円まで)

75%(10〜100時間未満は1人30万円まで)

賃金

1人1日9,500円(被保険者20人以下)

1人1時間1,000円

主な条件

計画届は3か月前〜原則1週間前(登録教習機関等の実習は不要)

10時間以上・計画届は開始の6か月前〜1か月前

2026年8月3日の改正で、リスキリング支援コースは職務の種類を問わない汎用的な内容を対象外とし、生成AIのプロンプトの作り方を汎用的に学ぶ訓練をその例に挙げています[14]。施工管理の担当者が生成AIで施工計画書の下書きを作る手順を学ぶ、というように職務と結びつける設計が要ります。

事業展開等リスキリング支援コースには、訓練で使う機器やシステムの導入費用の50%(1人15万円まで)を加える設備投資加算があり、賃金を5%以上上げるなどの要件が付きます[13]。パソコン・タブレット・スマートフォンと、デジタル化・AI導入補助金など他の補助金の対象にした(申請中を含む)機器・システムは対象外です[13]。

当社のAI研修は経営者・幹部向けの対面研修で、社員も同席できます。2026年10月時点で受講者1人20万円(税別)、標準3時間×4回です。助成の対象は雇用保険の被保険者で、役員は通常対象外のため、助成金を使えるかは受講者の立場と申請内容から個別に確認します。研修の内容はAI研修に載せています。

申請の順番は、締切とGビズIDから逆算します

申請の順番は4つです。

  1. GビズIDプライムを取得する(法人代表者のオンライン申請なら速やかに発行)[15]
  2. デジタル化・AI導入補助金はSECURITY ACTIONの★一つ星以上を宣言する[17]
  3. 電子化する書類と使うアプリを1つ決める
  4. 締切の近い制度から申請する(7次は2026年12月1日締切)[1]

当社の提案は補助金の締切より先に「どの書類をどのアプリでなくすか」を1つ決め、そのうえで間に合う制度から申請することです。

表7 公表されている日程(2026年10月24日時点[1][4][9][12][13][18][21])

制度

締切・期限

その後

デジタル化・AI導入補助金 6次

2026年10月30日(金)17:00

交付決定12月10日予定・実績報告2027年5月31日

デジタル化・AI導入補助金 7次

2026年12月1日(火)17:00

交付決定2027年1月19日予定。150万円以上は「1年後3%」の賃上げ要件

新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 第1回

2026年10月30日(金)18:00(厳守)

次回は公募要領で確認

省力化投資補助金 一般型 第9回

2026年12月下旬(予定)

公募開始は11月上旬の予定

愛知県 建設業DX推進支援事業費補助金

2027年1月29日(金)

国の通常枠の確定通知が前提

人材開発支援助成金 リスキリング支援コース

研修開始の6か月前〜1か月前に計画届

令和8年度末まで

人材開発支援助成金 技能実習コース

実習の3か月前〜原則1週間前に計画届

終了翌日から2か月以内に支給申請

デジタル化・AI導入補助金も新事業進出・ものづくり商業サービス補助金も、申請にはGビズIDプライムが要ります[11][17]。法人代表者がマイナンバーカードでオンライン申請すれば速やかに発行され、書類申請では審査に最大1か月かかります[15]。デジタル化・AI導入補助金はIPAの「SECURITY ACTION」で★一つ星以上を宣言していることも申請の要件です[17]。

たとえば従業員15人の土木会社なら、最初の対象を工事写真の整理と日報に絞り、無料の試用期間がある製品で現場の手順を確かめてから申請する進め方を、当社はおすすめします。AIに任せる書類の選び方は建設業のAI活用事例に書きました。

デジタル化・AI導入補助金には審査があり、申請しても交付決定を受けられない場合があるため、当社は交付決定が出なくても導入する価値がある投資にだけ補助金を使うことを勧めます。採択を前提に資金繰りを組まないでください。

まとめ

建設業のDX補助金は買うものから引くと、見る制度を1つに絞れます。電子小黒板とASPだけは、補助金の前に発注者の要領を読みます。

次の一手は自社のどの書類から電子化するかを決めることです。AI活用度診断で、書類と写真のどこに時間を使っているかを確かめてから、制度の当てはめはAI導入コンサルティングで一緒に決めましょう。

※本記事の金額・日程・要件は2026年10月24日時点で公表されている情報に基づく一般的な整理です。公募要領は更新されるため、申請前に各事務局・労働局の公式情報をご確認ください。

参考文献・出典

  1. 事業スケジュール|デジタル化・AI導入補助金2026 — 中小企業デジタル化・AI導入支援事業事務局(参照 2026-10-24)
  2. 通常枠|デジタル化・AI導入補助金2026 — 中小企業デジタル化・AI導入支援事業事務局(参照 2026-10-24)
  3. インボイス枠(インボイス対応類型)|デジタル化・AI導入補助金2026 — 中小企業デジタル化・AI導入支援事業事務局(参照 2026-10-24)
  4. 建設業DX推進支援事業費補助金 — 愛知県建設局(参照 2026-10-24)
  5. デジタル工事写真の小黒板情報電子化についての一部改定について(国技建管第6号・令和5年3月15日) — 国土交通省大臣官房技術調査課(参照 2026-10-24)
  6. 土木工事等における情報共有システム運用ガイドライン(案)(R7.4月以降) — 秋田県建設部技術管理課(参照 2026-10-24)
  7. 製品カタログ(カタログ注文型) — 中小企業省力化投資補助事業事務局(参照 2026-10-24)
  8. カタログ注文型とは — 中小企業省力化投資補助事業事務局(参照 2026-10-24)
  9. スケジュール(一般型) — 中小企業省力化投資補助事業事務局(参照 2026-10-24)
  10. 事業概要(一般型) — 中小企業省力化投資補助事業事務局(参照 2026-10-24)
  11. 新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 公募要領(第1回)1.3版 — 独立行政法人中小企業基盤整備機構(参照 2026-10-24)
  12. 人材開発支援助成金(建設労働者技能実習コース)リーフレット — 厚生労働省・都道府県労働局(参照 2026-10-24)
  13. 人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)のご案内(詳細版) — 厚生労働省・都道府県労働局(参照 2026-10-24)
  14. 事業展開等リスキリング支援コース改正:令和8年8月3日からの変更点について — 厚生労働省・都道府県労働局(参照 2026-10-24)
  15. GビズID — デジタル庁(参照 2026-10-24)
  16. 交付決定後の手続き — 中小企業デジタル化・AI導入支援事業事務局(参照 2026-10-24)
  17. 新規申請・手続きフロー詳細 — 中小企業デジタル化・AI導入支援事業事務局(参照 2026-10-24)
  18. 10月9日更新 第7次公募回以降における制度変更のお知らせ — 中小企業デジタル化・AI導入支援事業事務局(参照 2026-10-24)
  19. デジタル化・AI導入補助金2026 公募要領(通常枠)第7回公募以降 — 中小企業デジタル化・AI導入支援事業事務局(参照 2026-10-24)
  20. 中小企業省力化投資補助事業(一般型)公募要領(第8回公募) — 中小企業省力化投資補助事業事務局(参照 2026-10-24)
  21. 新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 — 新事業進出・ものづくり商業サービス補助金事務局(参照 2026-10-24)
  22. デジタル化・AI導入補助金2026 公募要領(通常枠)第6回公募まで — 中小企業デジタル化・AI導入支援事業事務局(参照 2026-10-24)
  23. 人材開発支援助成金 支給要領(建設労働者技能実習コース) — 厚生労働省(参照 2026-10-24)