議事録AIのおすすめを探すとき、精度の比較表を見ても決まりません。日本語の音声認識はどのツールも実用域に入り、差がつくのは会議の種類と、既に使っているツールとの相性に移りました。

社内会議しかないなら、すでに契約している会議ツールの標準機能で十分です。社外の商談や顧問先との打ち合わせが多いなら、専用ツールを1つ入れてください。判断材料を順に並べます。

まず自社の会議を3つに分ける

ツールの前に、会議を分類します。分類が済めば選択肢は2つか3つに絞れます。

表1 会議の種類と向いているツール

会議の種類

向いている型

社内の定例

朝礼、部門会議、進捗確認

会議ツールの標準機能(Teams・Zoom・Google Meet)

社外との商談・打ち合わせ

顧客訪問、顧問先の月次、代理店との調整

専用ツール(録音・話者分離・要約に強い)

対面の会議

現場での打ち合わせ、面談、来客対応

スマートフォンで録音できる専用ツール

社内の定例だけなら、新しい契約は要りません。 すでにMicrosoft 365やZoomを使っていれば、標準の要約機能でまかなえます。対面の会議が多い会社は、逆に専用ツールが必須になります。

主要ツールを料金で並べる

2026年8月時点の公開情報で並べます。金額は税込・1人あたりの月額です。

表2 議事録AIの料金と特徴(2026年8月時点)

ツール

料金の目安

強み

注意点

Rimo Voice

文字起こし月1,650円(年払い月1,100円)、AI要約つきは月4,950円〜、法人は月50,000円〜[2]

日本語に特化。Claude公式コネクタに国内初掲載[4]

要約は上位プランから

Notta

ビジネスは月2,508円[1]

対応言語が多い。会議URLの自動参加

要約は上位プランから

Circleback

海外サービス(公式サイトで確認)[3]

会議・メール・カレンダー・人物まで横断して読める

日本語UIは限定的

Teams(Copilot)

Microsoft 365の上位プランに含む

既存契約の範囲で使える

Teams外の会議には使えない

Zoom(AI Companion)

有料プランに含む

追加費用が出にくい

Zoom外の会議には使えない

Google Meet(Gemini)

Workspaceのプランによる

Googleドライブとの連携

プランで機能差がある

Notion AI

Notionの追加費用

議事録が社内wikiに直接たまる

音声認識は専用ツールに劣る場面がある

表の読み方に注意してください。 上の3つは「議事録専用」で、下の4つは「すでに払っている費用の中の機能」です。後者を先に試すほうが、判断が早く済みます。

ツールごとの向き不向き

表だけでは決めきれないので、言葉で補います。

Rimo Voice。 日本語の会議に特化しており、専門用語の登録と話者分離が扱いやすい設計です。Claudeの公式コネクタに国内の議事録ツールとして初掲載された実績も、蓄積が増えるほど価値を持ちます[4]。金額を抑えたいなら文字起こしプランから始め、要約が必要になった段階で上位に移る流れが無駄になりません[2]

Notta。 対応言語の幅と、会議URLへの自動参加が持ち味です。海外の取引先との打ち合わせがある会社、複数の会議ツールが混在している会社に向きます。ビジネスプランは月2,508円で、人数が増えるほど1人あたりの負担が見えやすくなります[1]

Circleback。 会議の記録に加えて、メールやカレンダー、人物の情報まで横断して読める範囲が広い海外サービスです[3]。日本語のUIは限定的なので、英語に抵抗がない担当者がいる会社向けになります。

Teams(Copilot)とZoom(AI Companion)。 すでに払っている費用の中の機能なので、まずここを試すのが定石です。弱点は会議の場所が固定されることです。Teamsの会議はTeamsでしか録れません。対面の打ち合わせや、相手が別のツールを指定してくる商談には届きません。

Notion AI。 議事録が社内の情報置き場に直接たまる点が強みです。過去の決定事項を探す動線が短くなります。音声認識そのものは専用ツールに一歩譲る場面があるため、録音は別ツール、保管はNotionという分け方も現実的です。

Google Meet(Gemini)。 Googleドライブに議事録が残るため、資料と会議記録が同じ場所に並びます。使える機能はWorkspaceのプランで差が出るので、契約中のプランを先に確認してください。

議事録を何に使うのかを決める

もう1つ、選ぶ前に決めることがあります。議事録の使い道です。

用途は3つです。1つ目は決定事項の記録で、後から「何を決めたか」を確認するために残します。2つ目は宿題の管理で、誰がいつまでに何をするかを追うために使います。3つ目は共有で、欠席者が読んで追いつくためのものです。

必要な形も変わります。決定事項なら箇条書きで十分です。宿題の管理には担当者と期限の列が要ります。共有用なら発言の流れが残っているほうが読みやすくなります。全文の文字起こしが必要な会議は、実はそれほど多くありません。

ここを決めずにツールを比べると、出力の形が合わないまま契約することになります。

無料版で済む条件

3つとも当てはまるなら、まだ課金は不要です。

  • 会議が月に5本以下
  • 会議はすべてオンラインで、1つのツール(TeamsかZoom)に集まっている
  • 議事録を後から検索する習慣がない

1つでも外れるなら、有料プランのほうが安く済みます。清書に月10時間かけているなら、時給2,000円換算で2万円分。月2,500円のツールと比べるまでもありません(2026年8月時点の人件費水準での試算)。

精度で迷わないための3点

音声認識の精度は、ツールの差より環境の差で動きます。確かめるのは3つです。

1つ目はマイクです。 会議室のスピーカーフォンと、個人のヘッドセット。同じツールでも結果が変わります。対面の会議なら、スマートフォンを話者の中央に置くだけで改善します。

2つ目は辞書登録です。 社名、商品名、型番、業界用語、略語、担当者の姓。ここを登録しないまま「精度が低い」と判断している例が多くあります。建設なら「養生」「歩掛」、介護なら「体交」「ADL」、製造なら「治具」「歩留まり」。自社の固有名詞と業界語を20語ほど登録するだけで、体感は変わります。

3つ目は話者分離です。 誰が言ったかを分けられるかどうかは、議事録の使い勝手を大きく変えます。対面の会議が多い会社は、契約前にこの点を試してください。

2026年の選定軸はMCP対応

もう1つ、比較表にあまり載らない軸があります。蓄積した議事録を、自分が使っているAIから直接呼べるか。

共通規格はMCP(Model Context Protocol)です[5]。対応していれば、ClaudeやChatGPTから「先月の◯◯社との打ち合わせで決まった納期は」と聞けば、議事録ツールを開かずに答えが返ってきます。国産ではRimo Voiceが先行し、2026年8月6日にAnthropicのコネクタディレクトリへ国内の議事録ツールとして初掲載されました[4]。海外ではCircleback がメール・カレンダーまで含めて読める範囲が広くなっています[3]

この軸を入れる理由は単純です。議事録は書いた瞬間より半年後に価値が出る資産で、過去の決定を探す時間をなくせるかどうかが、蓄積の差になります。選定の詳しい考え方はAI議事録ツールはMCP対応で選ぶに書きました。

導入前に決める3つの取り決め

技術より運用でつまずきます。契約前に決めてください。

表3 先に決める3項目

項目

決めること

決めないと起きること

録音の告知

冒頭で伝える型、社外同席時の承諾の取り方

社外の会議で使えず、その会議だけ手書きに戻る

入れない情報

人事評価、係争案件、未公表の取引条件

機微な会議の記録が外部サービスに残る

確認する人

共有前に金額と固有名詞を見る担当

聞き間違いがそのまま社内に回る

録音を止める会議も先に決めておきます。人事評価の面談、懲戒に関する聴取、労使交渉、M&Aの初期接触、価格改定の社内協議。この5つは記録が残ること自体が不利になり得る場面です。

3つ目は外さないでください。金額・日付・数量・人名の聞き間違いは残ります。発言者本人が共有前に確認する運用にしておけば、事故は起きません。線引きの考え方はAIに任せてはいけない業務の見分け方にまとめました。

1つの定例から始める型

全社導入から始めると、比較の材料が集まりません。順番はこうです。

1週目は、既存の会議ツールの標準機能で1つの定例を録ります。追加費用はゼロです。2週目に、物足りない点を3つ書き出します。話者が分からないこと、要約が粗いこと、対面の会議に使えないこと。だいたいこの3つです。

3週目に、その不足を埋めるツールだけを無料枠で試します。4週目に、清書にかけていた時間の変化を測って決めます。

判断の基準は1つです。「清書の時間が半分以下になったか」。半分にならなければ、原因はツールより運用にあります。マイクと辞書登録を先に見直してください。

対面の会議をどう録るか

オンライン会議の記録は、どのツールでも大差ありません。差が出るのは対面です。

置き場所を先に決めます。スマートフォンを机の中央に、話者から1メートル以内に置きます。エアコンの吹き出し口の下、プロジェクターのファンの近く、給湯室や廊下に面した扉の前、時計の秒針が鳴る壁際は避けます。この3か所は雑音が入りやすい場所です。

人数が5人を超えるなら、マイクを1つ足すほうが安全です。数千円のUSB会議マイクで十分に改善します。ノートパソコン内蔵のマイクは、話者から離れると急に弱くなります。

現場での打ち合わせでは、風とエンジン音が最大の敵になります。屋外なら、要点だけを会議後に30秒で話して録音するほうが、会話をそのまま録るより使える記録になります。録音は「全部残す」ことより「使える形で残す」ことを狙ってください。

社内に定着させる順番

道具を配っても、使われなければ意味がありません。定着の順番は決まっています。

使う人を1人に絞ります。清書に最も時間をかけている担当者が向いています。次にその人が同じ部署の同僚に手順を見せます。マニュアルより、隣で1回やってみせるほうが早く伝わります。

3つ目に、うまくいった設定を1枚の紙にします。書くのは4項目だけです。録音の始め方、辞書に登録した用語、要約の指示文、共有する場所。この4行があれば、次の人は迷いません。

管理者が見るのは操作の習熟ではありません。清書にかけていた時間が実際に減ったかどうかです。減っていなければ、会議の種類とツールの組み合わせが合っていません。

費用の考え方

比べるのは月額ではありません。清書にかかっていた人件費です。

週1回の定例で、清書に60分かけていたとします。月4回で4時間。時給2,000円なら8,000円分の作業です(2026年8月時点の人件費水準での試算)。月2,500円のツールで清書が15分に縮めば、差額は毎月5,000円以上残ります。

社外商談の記録なら、効果はさらに大きくなります。訪問後に記憶で書いていた報告が、その日のうちに事実で残ります。見積の前提、納期の約束、担当者の異動、競合の名前。曖昧だった部分が具体で残るぶん、次の提案が速くなります。思い出す時間が消えることのほうが、実は大きい変化です。

乗り換えるときの注意

すでに1つ使っている会社が乗り換える場合、過去の議事録の扱いを先に確認してください。

見るのは3点です。エクスポートの形式(テキストかPDFか、話者の情報が残るか)、保存期間(解約後に何日で消えるか)、そして検索の可否(移した先で探せるか)。ここを確認しないまま解約すると、蓄積が消えます。

エクスポートの形式は、ツールによってVTT、SRT、DOCX、CSV、PDFとまちまちです。話者名と時刻が列で残る形式を選べば、移した先でも検索できます。

移行の手順は単純です。過去1年分だけをエクスポートし、社内の共有フォルダかNotionのような置き場に入れます。全期間を移す必要はありません。半年以上前の議事録を読み返す頻度は、実際にはかなり低いはずです。

まとめ

議事録AIのおすすめは、次の順番で決めてください。

  1. 会議を3つに分類する(社内定例・社外商談・対面)
  2. すでに払っているツールの標準機能を先に試す
  3. 足りない点を3つ書き出し、それを埋めるツールだけを比較する
  4. MCP対応かどうかを最後の判断軸に入れる[5]

料金は1人あたり月1,100円〜2,600円の範囲に収まります[1][2]。清書の人件費と比べれば、判断は難しくないはずです。

自社のどの会議から始めるか整理したい方はAI活用度診断へ。運用の取り決めまで一緒に作りたい方はAI導入コンサルティング、まず相談したい方は無料相談をご利用ください。

※料金と機能は2026年8月時点の公開情報です。プラン構成は変更されるため、契約前に各社の公式ページをご確認ください。

参考文献・出典

  1. 料金プラン — Notta(参照 2026-08-25)
  2. Rimo Voice 料金 — Rimo合同会社(参照 2026-08-25)
  3. Pricing — Circleback(参照 2026-08-25)
  4. Rimo、国内議事録ツール初のClaude公式コネクタに — Rimo合同会社(PR TIMES・参照 2026-08-25)
  5. Model Context Protocol 公式ドキュメント — Model Context Protocol(参照 2026-08-25)
  6. AI議事録ツール比較2026|Notta・Rimo・tl;dv・NotebookLM — 0120(相場の確認に使用・参照 2026-08-25)